メールマガジン Top Eye Vol.337
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福島会計事務所 メールマガジン Top Eye Vol.337
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◆ 今号の目次 ◆
【1】 「分掌変更による退職金の分割支給」 宮元
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【1】 「分掌変更による退職金の分割支給」 宮元
今年の2月26日に東京地裁の判決で、役員退職金を巡る裁判に関して、納税者勝訴の判決が下りました。
裁判の概略については後ほどご説明させていただきますが、そもそもなぜこの裁判を皆様にご紹介させていただきたいかといいますと、「納税者勝訴」という点が大きなポイントだからです。
国税庁が毎年発表している「税務訴訟に関するデータ」によると、平成26年度では国側が敗訴、つまり国が裁判に負けたという事例は全体の6.8%と公表されています。
【平成26年度における訴訟の概要】
→https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2014/sosho_h26/index.htm
逆に考えると、9割以上の確率で納税者側は裁判に負けるということになります。
裁判には多額の費用と、時間と労力が必要です。
にもかかわらず、最終的には裁判に負けて納税するという最悪な結末が9割以上の確率で起こるということになります。
これは、納税者にとって非常に不公平だと言わざるを得ません。
そういった理由からも、納税者側が裁判に勝ったという事例は非常に注目すべきことでもあります。
前置きはこれ位にして、本題に入りましょう。
以下、今回の裁判の概略を簡単にお話します。
【概要】
【原告側:X社】
あるX社(8月決算法人)の創業者Aは平成19年8月31日に代表取締役を辞任しました。
その後、取締役(非常勤)となり、役員報酬を代表取締役時代の半額以下に下げました。
A氏が代表取締役を辞任したということで、X社はA氏に対して退職金(2億円)を支給することを平成19年8月期に開催された取締役会で決議しましたが、資金繰りの都合からこれを分割支給することにしました。
具体的には、平成19年8月31日に1回目(7,500万円)を支払い,これを平成19年8月期における経費として、確定申告をしました。
さらに、翌期の平成20年8月29日に2回目(1億2,500万円)を支払い、これを平成20年8月期における経費として、確定申告をしました。
その後、平成22年4月に税務調査が入りました。
【被告側:税務当局】
税務署側(被告)としては,2回目の支給は退職金に該当せず、平成20年8月期における費用として認めないと主張しました。
同族会社の中小企業においては、代表取締役が相談役になる若しくは、取締役が監査役になるなどのケース(これを「分掌変更等」といいます)があり、資金繰りの都合から退職金を分割支給することは往々に考えられます。
通常の役員退職金に関して、税務上のルールでは、退職給与の額が具体的に確定した日において費用とするというのが原則です。
例外的に会社が実際に退職金を支払ったのであれば、その時点においてこれを費用として認めますということも法律で決められています(法人税基本通達9-2-28)。
税務署はこの点から、退職金2億円全てがその額が確定した平成19年8月期の費用であり、2回目の分割支給分については平成20年8月期の費用としては認めないと主張しました。
つまり、分掌変更による退職金について、支払った時に費用として認めますというルールは適用できないと主張しました。
一方、X社(原告)は、平成20年に支払った退職金は通常の退職金と同様に、実際にその支払った時点である平成20年8月期において費用として認められるべきだと主張しました。
結論として、東京地裁はX社側の主張を認めました。
つまり、「分掌変更による退職金の分割支給」が認められたということになります。
税務当局は今後、控訴する予定もないということです。
今回の判決によって退職金に関するルールが見直されることになり、今後の実務においても大きな影響があると思われます。
退職金の支給は節税にもつながります。
今後、分掌変更等によって実際に退職金の支給をお考えの方がいらっしゃいましたら福島会計事務所までご相談下さい。
宮元
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■■ 編集後記
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相変わらず、梅雨の気候が続いていますね。
最近は道路交通法が改正された影響で、自転車に乗る際の傘差し運転は罰金対象となりました。
その分、雨具の着用が義務付けられています。
私も最寄り駅まで自転車通勤をしておりますが、確かに周りにカッパを着た人を最近よく見かけます。
その分、傘差し運転をしている人が減っているように思えます。
警察官の方々も必死になって取り締まりを強化しているようです。
自転車事故は車の事故と同じくらいに危険ですし、我々の身近に起こりうるものです。
私も気を付けようと思います。
宮元 健志
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