令和3年度税制改正の大綱の概要

令和3年度税制改正の大綱の概要

2021-04-09 金

個人所得課税

  • 住宅ローン控除の特例の延長等
    • 控除期間13年の特例の適用期限を延長し、令和4年末までの入居者を対象とするとともに、
      この延長した部分に限り、合計所得金額1,000万円以下の者について面積要件を緩和する(50平方メートル以上→40平方メートル以上)。
    • この措置による個人住民税の減収額は、全額国費で補塡する。
  • セルフメディケーション税制の見直し
    • 対象をより効果的なものに重点化し、手続を簡素化した上で5年延長する。
  • 国や地方自治体の実施する子育てに係る助成等の非課税措置
    • 国や自治体からの子育てに係る助成(ベビーシッター・認可外保育施設の利用料等)について、
      子育て支援の観点から、非課税とする措置を講ずる。
  • 退職所得課税の適正化
    • 勤続年数5年以下の法人役員等以外の退職金についても、雇用の流動化等に配慮し、
      退職所得控除額を控除した残額のうち300万円を超える部分について2分の1課税を適用しない。


資産課税

  • 国際金融都市に向けた税制上の措置
    • 就労等のために日本に居住する外国人が死亡した際、その居住期間にかかわらず、
      外国に居住する家族等が相続により取得する国外財産を相続税の課税対象としない。
  • 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の拡充
    • 非課税枠(1,500万円/令和3年4月以降縮小)を令和3年末まで据え置く
      (面積要件について、住宅ローン控除と同様の措置を講ずる)。
  • 教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の見直し
    • 節税的な利用を防止する観点から、受贈者が贈与者の孫等である場合の贈与者死亡時の残高に係る
      相続税額への2割加算の適用等、所要の見直しを行った上、適用期限を2年延長する。
  • 土地に係る固定資産税等の負担調整措置
    • 宅地等及び農地の負担調整措置について、令和3年度から令和5年度までの間、
      現行の負担調整措置の仕組みを継続する。
    • その上で、令和3年度に限り、負担調整措置等により税額が増加する土地について、
      前年度の税額に据え置く特別な措置を講ずる。


法人課税

  • 産業競争力強化に係る措置
    • – デジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制の創設


      • 「つながる」デジタル環境の構築(クラウド化等)による事業変革を行う場合に、
        税額控除(5%・3%)又は特別償却(30%)ができる措置を創設する。
    • – カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の創設


      • カーボンニュートラルに向け、脱炭素化効果の高い先進的な投資
        (化合物パワー半導体等の生産設備への投資、生産プロセスの脱炭素化を進める投資)について、
        税額控除(10%・5%)又は特別償却(50%)ができる措置を創設する。
    • – 活発な研究開発を維持するための研究開発税制の見直し


      • 厳しい経営環境にあっても研究開発投資を増加させる企業の税額控除の上限を引き上げる(現行:25%→30%)とともに、
        インセンティブを高めるための控除率カーブの見直し及び控除率の下限の引下げ(現行:6%→2%)を行う。
      • クラウド環境で提供するソフトウェアなどの試験研究に要した費用について、研究開発税制の対象とするほか、所要の見直しを行う。
    • – コロナ禍を踏まえた賃上げ及び投資の促進に係る税制の見直し


      • 雇用環境の悪化に対応するため、新規雇用拡大・教育訓練支援に着目した形に見直しを行う。
    • – 繰越欠損金の控除上限の特例


      • コロナ禍の厳しい経営環境の中、赤字であっても果敢に前向きな投資(※)を行う企業に対し、
        その投資額の範囲内で、最大5年間、繰越欠損金の控除限度額を最大100%(現行:所得の金額の50%)とする特例を創設する。(※)カーボンニュートラル、DX、事業再構築・再編等
  • 株式対価M&Aを促進するための措置の創設
    • 自社株式を対価として、対象会社株主から対象会社株式を取得するM&Aについて、
      対象会社株主の譲渡損益に対する課税を繰り延べる措置を講ずる。
  • 国際金融都市に向けた税制上の措置
    • 投資運用業を主業とする非上場の非同族会社等の役員に対し支払われる業績連動給与について、
      一定の要件の下、損金算入を可能とする。
  • 中小企業の支援
    • – 中小企業向け投資促進税制等の延長


      • 中小企業者等の法人税の軽減税率の特例及び中小企業投資促進税制等を延長するとともに、
        商業・サービス業・農林水産業活性化税制の対象業種を中小企業投資促進税制に統合する。
    • – 所得拡大促進税制の見直し


      • 雇用者全体の給与等支給額に着目した要件に見直す。
    • – 中小企業の経営資源の集約化に資する税制の創設


      • M&Aを実施する中小企業者の投資リスクに備える準備金制度を創設するとともに、
        前向きな投資を推進するための措置等を講ずる。


消費課税

  • 車体課税
    • 自動車重量税のエコカー減税及び自動車税・軽自動車税の環境性能割について、新たな2030年度燃費基準の下での区分の見直し等、所要の措置を講ずる。
    • 環境性能割の臨時的軽減について、適用期限を9か月延長し、令和3年末までの取得を対象とする。この措置による減収については、全額国費で補塡する。
    • グリーン化特例(軽課)は、重点化等を行った上で2年間延長する。
  • 金密輸に対応するための消費税の仕入税額控除制度の見直し
    • 金又は白金の地金の課税仕入れに係る仕入税額控除の要件として保存することとされている本人確認書類のうち、一定の書類をその対象から除外する。


国際課税

  • 国際金融都市に向けた税制上の措置
    • リミテッド・パートナーシップの投資家である外国組合員に対する課税の特例について、持分割合要件等の見直しを行う。


東日本大震災からの復興支援のための税制

  • 復興支援のための税制上の措置
    • 福島国際研究産業都市区域の15市町村を対象とした福島イノベーション・コースト構想の推進に係る特例及び特定風評被害による経営への影響に対処するための特定事業活動に係る特例の創設等を行う。


納税環境整備

  • 税務関係書類における押印義務の見直し
    • 税務署長等に提出する国税関係書類において、実印・印鑑証明書を求めている手続等を除き、押印義務を廃止する。(※)地方公共団体の長に提出する地方税関係書類についても同様とする。
  • 電子帳簿等保存制度の見直し等
    • 経理の電子化による生産性の向上、テレワークの推進、クラウド会計ソフト等の活用による記帳水準の向上に資するため、帳簿書類を電子的に保存する際の手続を抜本的に見直す。また、スキャナ保存制度については、ペーパーレス化を一層促進する観点から、手続き・要件を大幅に緩和するとともに、電子データの改ざん抑止のための措置を講ずる。
  • 地方税共通納税システムの対象税目の拡大
    • 地方税共通納税システムの対象税目について、固定資産税、都市計画税、自動車税種別割及び軽自動車税種別割を追加し、eLTAX(地方税のオンライン手続のためのシステム)を通じた電子納付を可能とする。
  • 個人住民税の特別徴収税額通知の電子化
    • 特別徴収税額通知(納税義務者用)について、特別徴収義務者が求めた場合、市町村は、eLTAX及び特別徴収義務者を経由して電子的に送付するものとする。
  • 国際的徴収回避行為への対応
    • 徴収共助の要請が可能な国に財産を所有する滞納者が行う徴収回避行為に適切に対応するため、滞納処分免脱罪及び第二次納税義務の適用対象を見直す。


関税

  • 暫定税率等の適用期限の延長等
    • 令和2年度末に適用期限の到来する暫定税率(416品目)の適用期限を1年延長する等の措置を講ずる。
  • 個別品目の関税率の見直し
    • ポリ塩化ビニル製使い捨て手袋について、暫定税率を無税とする等の措置を講ずる。

令和2年度税制改正の大綱の概要

2020-04-09 木

個人所得課税

  • NISA制度の見直し・延長
    • つみたてNISAを5年延長する。(2023年まで20年の積立期間を確保)
    • 一般NISAについては、一階で積立投資を行っている場合には二階で別枠の非課税投資を可能とする二階建ての制度に見直した上で、5年延長する。
    • ジュニアNISAについては、延長せずに2023年末で終了する。
  • エンジェル税制の見直し
    • 法定の項目に拠らず「成長性」を確認し、都道府県に代わってエンジェル税制対象企業の証明を行える者に、認定クラウドファンディング業者を追加する。
    • 投資額を総所得金額から控除する優遇措置の対象に、設立後3年以上5年未満で一定の試験研究を行っているベンチャー企業を追加する。
  • 低未利用地の活用促進
    • 保有期間5年超、上物を含めて譲渡価格500万円以下等の要件を満たす低未利用地の譲渡所得に100万円の特別控除を創設する。
  • 国立大学法人等に対する個人寄附の促進
    • 国立大学法人等への個人寄附について、その寄附収入がイノベーティブな研究に挑戦する若手研究者への研究費助成事業等に充てられる場合には、税額控除を選択できることとする。
  • 未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(夫)控除の見直し
    • 未婚のひとり親に寡婦(夫)控除を適用する。
    • 寡婦(夫)控除について、
      • – 寡婦に寡夫と同等の所得制限(所得500万円(年収678万円))を設ける。

      • – 住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」の記載がある者を対象外とする。

      • – 子ありの寡夫の控除額を子ありの寡婦と同額にする。(所得税:27万円右矢印35万円、個人住民税:26万円右矢印30万円)

        ※法形式については検討中
  • 国外居住親族に係る扶養控除等の見直し
    • 所得要件(38万円未満)が国内源泉所得のみで判定されるために、国外で一定以上の所得を稼得している国外居住親族でも扶養控除の対象にされているとの指摘を踏まえ、令和5年分以後の所得税につき、留学生や障害者、送金関係書類において38万円以上の送金等が確認できる者を除く30歳以上70歳未満の成人について、扶養控除の対象にしないこととする。(※)個人住民税についても同様とする。
  • 私的年金等に関する公平な税制のあり方
    • 私的年金等について、以下の見直し等が行われた後も、現行の税制上の措置を適用する。
      • -DC(企業型・個人型)等の加入可能要件の見直しと受給開始時期等の選択肢の拡大

      • -中小企業向け制度(簡易型DC・iDeCoプラス)の対象範囲の拡大

      • -企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和

      • -ポータビリティの改善等

  • 森林環境譲与税の見直し
    • 令和2年度から令和6年度までの森林環境譲与税について、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金を活用することとし、各年度の譲与額を見直す等の措置を講ずる。


資産課税

  • 所有者不明土地等に係る固定資産税の課題への対応
    • 土地又は家屋の登記簿上の所有者が死亡し、相続登記がされるまでの間において、現に所有している者(相続人等)に対し、市町村の条例で定めるところにより、氏名・住所等必要な事項を申告させることができることとする。
    • 調査を尽くしてもなお固定資産の所有者が一人も明らかとならない場合、事前に使用者に対して通知した上で、使用者を所有者とみなして、固定資産課税台帳に登録し、固定資産税を課すことができることとする。


法人課税

  • オープンイノベーションに係る措置
    • 事業会社から一定のベンチャー企業に対する出資について、その25%相当額の所得控除ができる措置を創設する。その際、一定期間(5年)内に、出資した株式を売却等した場合には、対応する部分の金額を益金に算入する仕組みとする。
  • 投資や賃上げを促す措置
    • 収益が拡大しているにもかかわらず賃上げにも投資にも消極的な大企業に対する研究開発税制などの租税特別措置の適用を停止する措置の設備投資要件について、国内設備投資額が当期の減価償却費総額の3割超(現行:1割超)とする。
    • 大企業に対する賃上げ及び投資の促進に係る税制の設備投資要件について、国内設備投資額が当期の減価償却費総額の95%以上(現行:90%以上)とする。
  • 5G導入促進税制
    • 超高速・大容量通信を実現する全国5G基地局の前倒し整備及びローカル5Gの整備に係る一定の投資について、税額控除(15%)又は特別償却(30%)ができる措置を創設する。
  • 連結納税制度の見直し
    • 連結納税制度について、企業グループ全体を一つの納税単位とする現行制度に代えて、企業グループ内の各法人を納税単位としつつ、損益通算等の調整を行う仕組みとする。(グループ通算制度への移行)
    • 地方税においては、現行の基本的な枠組みを維持しつつ、国税の見直しに併せて所要の措置を講ずる。
  • 地方拠点強化税制の見直し
    • 地方拠点強化税制における雇用促進に係る措置について、移転型事業の上乗せ措置における雇用者1人当たりの税額控除額を3年間で最大120万円(現行:90万円)に拡充する。
  • 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の見直し
    • 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)について、手続の抜本的な簡素化・迅速化を図るほか、税額控除割合を現行の3割から6割に引き上げる。
  • 電気供給業に係る法人事業税の課税方式の見直し
    • 電気供給業のうち、発電事業及び小売電気事業に係る法人事業税について、資 本金1億円超の普通法人にあっては収入割額、付加価値割額及び資本割額の合算額によって、資本金1億円以下の普通法人等にあっては収入割額及び所得割額の合算額によって、それぞれ課することとし、標準税率等の見直しを行う。


消費課税

  • たばこ税(国・地方)の見直し
    • 紙巻たばこに類似したリトルシガーのような軽量な葉巻たばこについて、紙巻たばこと同等の税負担となるよう、最低税率を設定する。
    • たばこ税率の引上げスケジュールにあわせて、一定の経過措置を講じ、最低税率を2段階(令和2年10月・令和3年10月)で引き上げる。
  • 消費税の申告期限の延長
    • 法人税の申告期限の延長の特例の適用を受ける法人について、消費税の申告期限を1月延長する特例を創設する。
  • 日本酒の輸出拡大に向けた取組み
    • 日本酒輸出用の製造免許(最低製造数量要件の適用除外)を新たに設ける。


国際課税

  • 国際的な租税回避・脱税への対応
    • 子会社配当の非課税措置と子会社株式の譲渡を組み合わせた税務上の譲渡損失を創出する租税回避に対し、配当益金不算入制度の適用を受けて非課税とされる金額を子会社株式の帳簿価額から引き下げる等の見直しを行う。


納税環境整備

  • 電子帳簿保存制度の見直し
    • 電子的に受け取った請求書等をデータのまま保存する場合の要件について、ユーザーが自由にデータを改変できないシステム等を利用している場合には、タイムスタンプの付与を不要とするなど、選択肢を拡大する。
  • 地方税共通納税システムの対象税目の拡大
    • 新たに個人住民税の利子割・配当割・株式等譲渡所得割を対象とし、金融機関 等の特別徴収義務者が電子で申告及び納入を行うことを可能とする。
  • 国外財産調書制度等の見直し
    • 国外財産調書制度について、税務調査において納税者が必要な資料を提示・提出しない場合は加算税を加重することとする。
    • 国外で行われた取引等について、納税者が必要な資料を提示・提出せず、税務当局が外国税務当局に対して情報 交換要請を行った場合、除斥期間にかかわらず、当該要請から3年間は更正・決定できることとする。
  • 利子税・還付加算金等の割合の引下げ
    • 市中金利の実勢を踏まえ、利子税・還付加算金等の割合を引き下げる。(現行:貸出約定平均金利+1% → 見直し:貸出約定平均金利+0.5%)


関税

  • 暫定税率等の適用期限の延長等
    • 令和元年度末に適用期限の到来する暫定税率(416品目)の適用期限を1年延長する等の措置を講ずる。
  • 国際コンテナ戦略港湾政策に係るとん税及び特別とん税の特例措置の創設
    • 欧州・北米航路に就航するコンテナ貨物定期船が国際戦略港湾に入港する際のとん税及び特別とん税の一時納付の税率について、当分の間、引き下げる。

令和元年度(平成31年度)税制改正の大綱の概要

2019-09-18 水

【個人所得課税】




  1. ◦住宅ローン控除の拡充
    •消費税率10%が適用される住宅取得等について、控除期間を3年延長する。
    (現行10年→13年)
    •11年目以降の3年間について、消費税率2%引上げ分の負担に着目した控除額の上限を設定する。
    •適用期間は平成31年10月1日から平成32年12月31日までとする。
    •この措置による個人住民税の減収額は、全額国費で補塡する。
  2. ◦森林環境税(仮称)及び森林環境譲与税(仮称)の創設
    •森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、森林環境税(仮称)(平成36年度から年額1,000円)及び森林環境譲与税(仮称)(平成31年度から譲与)を創設する。
  3. ◦ふるさと納税制度の見直し
    •過度な返礼品を送付し、制度の趣旨を歪めているような団体については、ふるさと納税(特例控除)の対象外にすることができるよう、制度の見直しを行う。
  4. ◦子どもの貧困に対応するための個人住民税の非課税措置
    •子どもの貧困に対応するため、事実婚状態でないことを確認した上で支給される児童扶養手当の支給を受けており、前年の合計所得金額が135 万円以下であるひとり親に対し、個人住民税を非課税とする措置を講ずる。
 

【資産課税】




  1. ◦個人事業者の事業承継税制の創設等
    •新たな個人事業者の事業承継税制を、10年間の時限措置として創設する(現行の事業用小規模宅地特例との選択適用)。
    •事業用の土地、建物、機械等について、適用対象部分の課税価格の100%に対応する相続税・贈与税額を納税猶予する。
  2. ◦教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置の見直し
    •教育資金の一括贈与非課税措置について、受贈者の所得要件設定や使途の見直し等を行う一方、30歳以上の就学継続には一定の配慮を行い、適用期限を2年延長する。
    •結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置について、受贈者の所得要件設定を行い、適用期限を2年延長する。
 

【法人課税】




  1. ◦イノベーション促進のための研究開発税制の見直し
    •オープンイノベーション型について、大企業や研究開発型ベンチャーに対する一定の委託研究等を対象に追加するとともに、控除上限を法人税額の10%(現行:5%)に引き上げる。
    (※)一定の研究開発型ベンチャー企業との共同研究・委託研究に係る税額控除率については、25%とする。
•総額型について、増加インセンティブの強化の観点から控除率を見直すとともに、研究開発を行う一定のベンチャー企業の控除上限を法人税額の40%(現行:25%)に引き上げる。
•高い水準の研究開発投資を行っている企業について、総額型の控除率を割増しする措置を講じた上で、高水準型を総額型に統合する。

2.◦中堅・中小企業による設備投資等の支援
•中小企業者等の法人税の軽減税率の特例及び中小企業向け投資促進税制の延長等を行う。
•地域未来投資促進税制について、高い付加価値創出に係る要件を満たす場合に特別償却率を50%(現行:40%)、税額控除率を5%(現行:4%)に引き上げる等の見直しを行う。
•中小企業の事業活動に災害が与える影響を踏まえて事前防災を促進する観点から、事業継続力強化計画(仮称)に基づく防災・減災設備への投資に係る特別償却制度を創設する。

3.◦都市・地方の持続可能な発展のための地方税体系の構築
•地域間の財政力格差の拡大、経済社会構造の変化等を踏まえ、県内総生産の分布状況と比較して大都市に税収が集中する構造的な課題に対処し、都市と地方が支え合い、共に持続可能な形で発展するため、地方法人課税における新たな偏在是正措置を講ずる。
•具体的には、消費税率10%段階において復元後の法人事業税の一部を分離し、特別法人事業税(仮称)とするとともに、その全額を都道府県に対し、特別法人事業譲与税(仮称)として、人口を譲与基準(不交付団体に対する譲与制限あり)とし譲与する。

4.◦その他
•保険会社等の異常危険準備金制度について、火災保険等に係る特例積立率を6%(現行:5%)に引き上げる。
•医師の勤務時間短縮や、地域医療体制の確保、高額医療機器の共同利用の推進等効率的な配置の促進といった観点から、医療用機器の特別償却制度の拡充・見直しを行う。

 

【消費課税】




  1. ◦車体課税の見直し
    •平成31年10月1日以後に新車新規登録を受けた自家用乗用車(登録車)から、小型自動車を中心に全ての税率区分において、自動車税の税率を引き下げる。
    •自家用乗用車(登録車)に係る環境性能割の税率等の適用区分を見直す。
    •環境性能割の導入を契機に、自家用乗用車(登録車及び軽自動車)に係るグリーン化特例(軽課)の適用対象を、電気自動車等に限定する。なお、消費税率引上げに配慮し、平成33年4月1日以後に新車新規登録等を受けた自家用乗用車(登録車及び軽自動車)から適用する。
    •エコカー減税(自動車取得税・自動車重量税)の軽減割合等を見直す。政策インセンティブ機能の強化の観点から、自動車重量税のエコカー減税について、1回目車検時の軽減割合等を見直すとともに、2回目車検時の免税対象を電気自動車等や極めて燃費水準が高いハイブリッド車に重点化する。
    •自動車税の恒久減税により生じる地方税の減収のうち、地方税の見直しによる増収により確保できない分について、以下の措置により全額国費で補塡する。
    •平成31年度税制改正に係る車体課税の見直しに伴う都道府県・市町村間の財源調整のため、自動車税環境性能割交付金に係る交付率を見直す。
    •自動車の取得時の負担感を緩和するため、平成31年10月1日から平成32年9月30日までの間に取得した自家用乗用車(登録車及び軽自動車)について、環境性能割の税率を1%分軽減する。これによる地方税の減収は、全額国費で補塡する。
  2. ◦外国人旅行者向け消費税免税制度の利便性向上
    •臨時の販売場での免税販売を認める。
 

【国際課税】




  1. ◦BEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトを踏まえた対応
    •過大支払利子税制について、利子の損金算入限度額の算定方法の見直し等により、税源浸食リスクに応じて利子の損金算入制限を強化する。
    •移転価格税制について、独立企業間価格の算定方法としてディスカウント・キャッシュ・フロー法を加えるとともに、評価困難な無形資産取引に係る価格調整措置を導入する。
  2. ◦経済取引の多様化等に伴う納税環境の整備
    •仮想通貨取引等、経済取引の多様化・国際化が進展する中、適正課税を確保するため、現行実務上行われている事業者等に対する任意の照会について税法上明確化するとともに、高額・悪質な無申告者等の情報について国税当局が事業者等に照会する仕組みを整備する。
 

【関税】




  1. ◦暫定税率等の適用期限の延長等
    •平成30年度末に適用期限の到来する暫定税率(411品目)の適用期限を1年延長する等の措置を講ずる。
  2. ◦個別品目の関税率等の見直し

平成28年度税制改正の大綱の概要

2016-06-10 金

(平成27年12月24日 閣議決定)
【個人所得課税】

○ 空き家を売却した際の譲渡所得の特別控除の導入
•相続により生じた空き家であって旧耐震基準しか満たしていないものに関し、相続人が必要な耐震改修又は除却を行った上で家屋又は土地を売却した場合の譲渡所得について特別控除(3,000万円)を導入。

○ 三世代同居に対応した住宅リフォームに係る税額控除制度の導入
•三世代同居に対応した住宅リフォームに関し、借入金を利用してリフォームを行った場合や自己資金でリフォームを行った場合の税額控除制度を導入(借入金:住宅借入金等の年末残高の1~2%、自己資金:標準的な工事費用相当額の10%)。

○ スイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)の導入
•検診、予防接種等を受けている個人を対象として、いわゆるスイッチOTC医薬品の購入費用(年間1.2万円を超える部分の金額)についてセルフメディケーション推進のための所得控除制度(医療費控除の控除額計算上の特例措置)を導入。

○ 個人の寄附税制の包括的な見直し
•国立大学法人等の行う学生の修学支援事業のために充てられる個人寄附について税額控除制度を導入。
•公益法人等について、個人寄附に係る税額控除の対象となるために必要な寄附者数の要件を事業規模に応じて緩和。


【資産課税】

○ 農地保有に係る課税の強化・軽減
•農業委員会から農地中間管理機構との協議の勧告を受けた遊休農地について、通常の農地より固定資産税の評価額を引上げ。
•所有する全農地を農地中間管理機構に10年以上貸し付けた場合は、固定資産税等の課税標準を最初の3年間価格の2分の1等とする特例措置を創設。

○ 機械及び装置の固定資産税の特例措置の創設
•中小企業の生産性向上に関する法律(仮称)の制定を前提に、中小企業者等が、同法の施行の日から平成30年度末までに、一定の機械及び装置の取得をした場合には、固定資産税の課税標準を最初の3年間価格の2分の1とする特例措置を創設。


【法人課税】

○ 成長志向の法人税改革
•法人税率の引下げ等


             平成27年度    平成28・29年度   平成30年度



法人税率           23.9%   ⇒    23.4%      23.2%

法人事業税所得割※      6.0%        3.6%       3.6%

(参考)
国・地方の法人実効税率   32.11%       29.97%       29.74%

※平成28年度までは、地方法人特別税を含む

•課税ベースの拡大等: -租税特別措置の見直し(後掲)
-減価償却の見直し(建物附属設備・構築物の償却方法を定額法に一本化)
-欠損金繰越控除の更なる見直し(大法人の控除限度 平成28年度:所得の65%⇒60%、平成29年度:所得の50%⇒55%)
-法人事業税の外形標準課税の更なる拡大(現行(平成27年度):3/8⇒平成28年度:5/8)

○ 租税特別措置の見直し
•生産性向上設備投資促進税制の縮減・廃止(現行:即時償却等⇒平成28年度:特別償却率50%等⇒平成29年度:廃止(平成28年度税制改正法案において明確化))
•環境関連投資促進税制の見直し(売電用の太陽光発電設備の除外等)
•雇用促進税制の見直し(対象地域・対象雇用者の限定) 等

○ 地方法人課税の偏在是正(平成29年度~)
•法人住民税法人税割の税率の引下げ及び地方法人税の税率の引上げ
•地方法人特別税及び地方法人特別譲与税の廃止
•法人事業税交付金の創設

○ 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設
•地域再生法の改正を前提に、地方公共団体の行う同法の認定計画に記載された一定の事業に関連する寄附金を支出した場合の税額控除を創設

○ 復興支援のための税制上の措置
•復興産業集積区域において機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度について、一定の見直しを行いつつ、適用期限を5年延長(その際、被災地の実情等を踏まえ、一部要件緩和) 等

【消費課税】

○ 消費税の軽減税率制度の導入
•平成29年4月から軽減税率制度を導入。
•対象品目は、1酒類及び外食を除く飲食料品、2新聞の定期購読料
•軽減税率は8%(国分:6.24%、地方分:1.76%)
•平成33年4月から適格請求書等保存方式を導入。それまでの間は簡素な方法とするとともに、税額計算の特例を設ける。

※ 軽減税率制度の導入に当たり、安定的な恒久財源を確保するとともに、軽減税率制度の円滑な導入・運用のために必要な措置を講ずる旨を、平成28年度税制改正法案に規定する。

○ 外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充
•外国人旅行者向け消費税免税制度につき、免税販売の対象となる一般物品の購入下限額を引下げ(1日1店舗当たり「10,000円超」→「5,000円以上」)。

○ 車体課税の見直し
•平成29年4月の消費税率10%への引上げ時に、自動車取得税を廃止するとともに、自動車税及び軽自動車税において、自動車取得税のグリーン化機能を維持・強化する環境性能割をそれぞれ導入。
•平成28年度に適用される自動車税及び軽自動車税におけるグリーン化特例(軽課)の見直し・延長。


【国際課税】

○ 日台民間租税取決め
•「日台民間租税取決め」(租税条約に相当。法的効力は無し。)(平成27年11月に署名)に規定された内容(日台間で支払われた配当等の源泉地における課税の税率の10%への引下げ等)を日本で実施するための国内法を整備。

○ 多国籍企業情報の報告制度等の構築
•多国籍企業のグローバルな活動・納税実態の把握のため、各国が協調して情報収集・共有する枠組等を構築。


【納税環境整備】

○ 国税のクレジットカード納付制度の創設
•インターネット上でのクレジットカードによる国税の納付を可能とする制度を創設。

○ 加算税制度の見直し
•短期間に繰り返して無申告又は仮装・隠蔽が行われた場合の加算税の加重措置(無申告加算税・重加算税を10%加算)等を導入。


【関税】

○ 暫定税率の適用期限の延長

○ 輸出入申告官署の自由化等
•AEO(認定事業者)について輸出入申告官署を自由化するとともに、通関業制度の見直しを行う。

平成27年度税制改正の大綱の概要

2015-03-24 火

【個人所得課税】

  • ○ NISAの拡充


    • ジュニアNISAを創設(20歳未満の者の口座開設を可能に。年間投資上限額80万円)。
    • 投資上限額を引上げ(年間100万円⇒120万円)。
  • ○ 住宅ローン減税等の適用期限の変更


    • 住宅ローン減税の拡充等の措置について、その適用期限を1年半延長(平成29年12月31日まで⇒平成31年6月30日まで)。
  • ○ 国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の創設


    • 時価1億円以上の有価証券等を有する等一定の要件に該当する者が国外に転出する際に、その有価証券等の譲渡等をしたものとみなして課税する特例を創設。
  • ○ ふるさと納税の拡充


    • 特例控除額の拡充(上限:個人住民税所得割額の1割⇒2割)。
    • 返礼品送付について、寄附金控除の趣旨を踏まえた良識ある対応の要請。
    • 申告手続の簡素化(確定申告不要な給与所得者等がふるさと納税を行う場合、ワンストップで控除を受けられる仕組みを導入)。


【資産課税】

  • ○ 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の延長・拡充


    • 適用期限を延長した上で拡充(非課税枠:1,000万円⇒最大3,000万円)。
  • ○ 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設


    • 子や孫の結婚・出産・育児に要する資金の一括贈与に係る非課税措置を創設(非課税枠:1,000万円)。


【法人課税】

  • ○ 成長志向に重点を置いた法人税改革


    • 法人税率の引下げ等
      現行 27年度 28年度
      法人税率  25.5%   23.9%    23.9%
      法人事業税所得割(標準税率)    7.2%     6.0%   4.8%
      (参考)
      国・地方の法人実効税率
      34.62%  32.11%
      (▲2.51%)
        31.33%
      (▲3.29%)
    • 課税ベースの拡大等
      • -欠損金繰越控除の見直し
        (大法人の控除限度 現行:所得の80%⇒27年度:65%⇒29年度:50%)
      • -受取配当等益金不算入の見直し
        (現行:持株比率25%未満は50%、25%以上は100%益金不算入
        ⇒5%以下は20%、5%超1/3以下は50%、1/3超は100%益金不算入)
      • -法人事業税の外形標準課税の拡大(現行:1/4⇒27年度:3/8⇒28年度:1/2)
      • -租税特別措置の見直し(後掲)
    • 所得拡大促進税制等の見直し
      • -給与等支給増加割合の要件の見直し
        (現行:基準年度比27年度+3%→28年度+5%→29年度+5%
        ⇒27年度+3%→28年度+4%(中小+3%)→29年度+5%(中小+3%))
      • -法人税の所得拡大促進税制の要件を満たす場合に、法人事業税(外形標準課税)において、給与等支給額の増加分を付加価値割の課税ベースから控除する制度を導入
  • ○ 地方拠点強化税制の創設


    • 地域再生法の改正を前提に、地方拠点建物等を取得した場合の投資減税の創設や雇用促進税制の拡充を行う。
  • ○ 租税特別措置の見直し


    • 研究開発税制の見直し(控除限度額の総枠は「法人税額の30%」を維持しつつ、特別試験研究費の控除限度を別枠化(5%)。限度超過額の繰越制度を廃止)
    • 生産等設備投資促進税制の廃止
    • 太陽光発電設備の即時償却の廃止 等


【消費課税】

  • ○ 消費税率(国・地方)10%への引上げ時期の変更等


    • 平成27年10月1日から平成29年4月1日へと変更。
    • 景気判断条項(国税に係る税制抜本改革法附則18条3項及び地方税に係る税制抜本改革法附則19条3項)を削除。
  • ○ 国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税の見直し


    • 国外事業者が国境を越えて行う電子書籍・音楽・広告の配信等の電子商取引を消費税の課税対象とする。
  • ○ たばこ税(旧3級品)の見直し


    • 旧3級品の紙巻たばこに係る特例税率を段階的に縮減・廃止。
  • ○ 車体課税の見直し


    • エコカー減税(自動車重量税・自動車取得税)について、減免税車の対象範囲を見直した上で、適用期限を2年延長。
    • 軽自動車税について、平成27年度に新規取得した一定の環境性能を有する軽四輪等について、その燃費性能に応じたグリーン化特例(軽課)を導入。二輪車に係る税率の引上げ時期を平成27年4月1日から平成28年4月1日に1年延期。
  • ○ 狩猟税の見直し


    • 対象鳥獣捕獲員に係る狩猟者登録を非課税(現行:1/2)とする措置等を、平成30年度(平成31年3月31日)まで実施。


【国際課税】

  • ○ 外国子会社配当益金不算入制度の適正化


    • 外国子会社において損金に算入される配当を外国子会社配当益金不算入制度の適用対象から除外。
  • ○ 非居住者に係る金融口座情報の自動的交換制度の整備


    • 非居住者の金融口座情報の自動的交換のため、金融機関に対し非居住者の金融口座情報の報告を求める制度を整備。


【納税環境整備】

  • ○ 財産債務明細書の見直し


    • 提出基準、記載事項等を見直し。
  • ○ マイナンバーが付された預貯金情報の効率的な利用に係る措置


    • 銀行等に対し預貯金情報をマイナンバーにより検索可能な状態で管理することを義務づけ。


【関税】

  • ○ 指定薬物の水際における取締り強化


    • 指定薬物を関税法上の「輸入してはならない貨物」に追加。
  • ○ 暫定税率等の適用期限の延長

財務省参照URL【http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2015/27taikou_gaiyou.htm】

税制改革

2015-03-19 木