メールマガジン Top Eye Vol.340
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福島会計事務所 メールマガジン Top Eye Vol.340
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◆ 今号の目次 ◆
【1】 「会社の資本金による税金への影響」 宮元
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【1】 「会社の資本金による税金への影響」 宮元
お笑いテレビ番組の企画制作などで知られる吉本興業が、9月1日付けで減資することを発表しました。
資本金額、約125億円からなんと1億円に減資するようです。つまり、124億円もの資本金を減らすということです。
これはかなり大規模な減資です。
そもそも、この背景には2つの目的があると言われています。
(1)財務体質の改善を図る
(2)税制上の優遇措置を受ける
吉本興業の平成27年3月期決算は、子会社株の評価損などで特別損失を計上したため最終的に32億円の赤字となっており、同日時点での利益剰余金は140億円のマイナスという状況でした。
今回の減資によって資本金を取り崩すことで、会社の損失を補てんすることができます。
この減資という行為に関しては、税務上、特に問題は生じません。
当然、事前に株主総会での事前の決議がされているわけですし、株主に対してもそこまで悪影響を及ぼすものではありません。
一方、減資した後、資本金の規模によっては税務上の影響が出てきます。
減資によって会社の資本金が1億円以下になると、税務上のいわゆる「中小法人」とみなされます。
中小法人には、法人税の負担が軽くなる税制上の優遇措置が数多く設けられています。
つまり、税金計算上、大手企業よりも有利になるケースがほとんどです。
吉本興業も財務体質の改善と同時に、中小法人向けの税制の優遇措置を受けることを狙ったと思われます。
ご存知の方も多いと思いますが、今年の5月に経営再建中だったシャープが減資によって資本金を1億円へ減らそうとしました。
しかし、国から批判を受けたため、実行できなかったということがありました。
これは当然の結果と言わざるを得ません。
国としては、税収が期待できる大手企業が税制の優遇措置を受けることによって税収が減ることは納得できないでしょう。
日本の9割以上が中小零細企業と言われている中で、限られた大手企業からの税収は重要な国の財源となります。
今後の吉本興業の減資についてどうなるのか動向が注目されますが、では実際に資本金1億円以下の中小法人になった場合、どのような優遇措置があるのでしょうか。
長くなるため、制度そのものの内容説明は省略させていただきますが、ここでは簡単な概略だけご紹介させていただきます。
主なものとして以下のものがあります。
(1)法人税の軽減税率
大法人は一律23.9%ですが、中小法人は年間800万円までの所得について15%となります。
(2)交際費の定額控除限度額
中小法人の場合、支出した交際費について年間800万円まで税金がかかりません(これを「定額控除限度額」といいます)。実際には一人当たり5,000円超の飲食代の50%といずれか大きい金額までとされていますが、年間1,600万円の飲食代を使う中小企業はほぼないため、基本的に800万円まで税金がかからないという認識で問題ありません。
(3)貸倒引当金の繰り入れ
現在、大法人では一部の業種を除いて、将来の債権の貸倒に備えて貸倒引当金を設定することは認められていません。
ただし、中小法人であれば、貸倒引当金繰入として費用計上することができます。
(4)各種減価償却資産制度に関して
中小法人であれば取得価額が30万未満の資産(年間300万円までを限度とする)を一括で費用処理できます。
また、特別償却制度(早期償却)や特別控除(減免措置)制度等の優遇規定が設けられています。
大法人であれば、一部は例外としては適用できますが、原則としてこれらの制度が使えません。
(5)欠損金の繰越控除の所得制限
大法人は所得金額の65%を限度として過年度からの赤字を当期の黒字とを相殺できますが、中小法人であれば、そのような所得制限はありません。
(6)欠損金の繰戻還付
前期黒字、当期赤字の場合に、中小法人に関しては前期に納税した税金の一部を還付してもらえますが、大法人であればそれは認められていません。
(7)留保金課税の不適用
社内に留保しすぎた利益部分について税金が課税されることがありますが、特例として中小法人であればその制度が適用されません。
※上記(1)~(7)でいう中小法人は資本金5億円以上の大法人との間に完全支配関係がない法人とします
以上、簡単ではありますが、制度の概略をご紹介させていただきました。
実際には中小法人が有利になるようなこれら以外の税制上の優遇措置も数多く存在しています。
適用の有無や、今後増資を検討されているお客様がいらっしゃいましたら、その増資金額に注意が必要となりますので是非、福島会計事務所へご相談下さい。
宮元
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■■ 編集後記
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お盆休みも終わり、社会人の方は現実に引き戻されたのではないでしょうか。
ちなみに私は帰省ついでに金沢に行ってきました。
加賀百万石の城下町として知られる石川県金沢市は、北陸新幹線の開通もあり、とても賑わっていました。
駅前も近代的な建物が数多く建築されており、北陸とは思えない都会的な街並みでした。
兼六園、金沢21世紀美術館、金沢城など数多くの名所で知られる金沢。
みなさんも是非一度、訪れてみてはいかがでしょうか。
東京から新幹線で約2時間は30分で行けちゃいますよ。
宮元 健志
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